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JX4E0019

 マン島に来て、12日が過ぎました。

 みなさんもご存知と思いますが、僕がここに着いて1週間後に、松下ヨシナリが亡くなりました。1回目の予選セッションの2周目での事故でした。

 この事故について現在判明していることは、250〜270km/hほどの速度でジャンプを飛ぶバラクライという場所で彼が転倒し、その結果亡くなったということだけです。現在もまだ警察での検証が続いているようで、正式な事故分析結果は主催者からも警察からも発表されていません。

 ところが、彼の死亡事故について断定的な文言をネット上に吐いている人がいるようで、僕はそれが残念でなりません。バイクに乗らない人ならまだしも、どうやらバイクに乗る人までもがそんな言葉を吐いている。

 事故の瞬間に何があったのか、真実を知っているのは故人の松下だけであり、それ以外に信用できる推測が可能なのは、目撃証言を丹念に集め、路面やマシンの損傷まで執拗に調べた現地の警察や主催者以外にありません。同じ日本人であるだけでなく、バイクという共通の趣味をもった仲間が、信念をもって挑んだ場で、残念ながら事故にあってしまった。それを素直に悲しみ、敬意をもって見送るのではなく、文字通り、死人に鞭打つような言動が出来る人の気持ちを僕は理解できません。

 松下が事故を起こしたのか。あるいは、事故にあったのか? 彼が失敗したのか、あるいは何らかの不可避な外的要因があったのか? 現地にいても、今はそんなことすらわからないのです。なのに、どうして彼を批判するような言動をするのか?

 日本は表現の自由が守られている国ですし、そのことは素晴らしいと思います。しかし、実際に現場で見て感じたうえで言葉を綴るのならまだしも、不確かな伝聞だけで断定的な言葉を吐くことは人間として恥ずべきことだし、その言葉を吐いた本人の品格を貶めるものだと思います。

 どうか、同じ日本人として、同じバイク乗りとして、果敢に挑戦し、その結果命を失った彼のことを誇りに思ってください。松下は、素晴らしいファイティングスピリッツをもったヤツでした。素直に彼の死を悼み、彼を失った人々の悲しみを想い、思い遣りの気持ちをもつことが、人間として正しい行動なのではないでしょうか。僕はどうか、全ての人にそうあって欲しいと思います。

 マン島では、バイクやマン島TT自体が嫌いな人でさえ、松下の死を悼んでいます。ましてや、共に同じ現場にいた現地の仲間たちは、松下と話したことがあろうかなかろうが、それこそトップライダーからアマチュアまで、全員が一体となって悲しい事故が起きたことに嘆き、痛みをわかちあっています。そこにタイムの善し悪し、順位の高低などは関係ありません。

 それでも、どうしても、彼の挑戦や行動、事故を批判したいのなら、ぜひこのマン島に訪れ、この地に立ってから、もう一度考えてみてください。マン島TTは6月7日まで開催されています。これから飛行機を予約しても間に合います。

P.S.
 この週末は凄いですね。BAJA500、エルズベルグロデオ、motoGP、X-FIGHTERS……X FIGHTERSは僕もマン島で、RedBullのストリーミングを見て感激しました。ダイス、パジェス、タカ、すべてのライダー、そしてこのイベントを実現させたエイゴとレッドブルは本当に凄いと思います。ありがとう!
 エルズベルグロデオには田中太一と水上泰祐が挑戦しています。今年もビッグマウスをリアルなものにしたタイチも凄いですが、初参戦のタイスケも無事予選通過、どうか本戦では限界まで頑張って欲しいと思います。タイチごめんな、取材行けなかったけど応援してるよ! がんばれ!

P.S.のP.S.
motoGPに参加している中上貴晶選手が、松下の死を悼んで参戦マシンに松下のステッカーを貼ってくれています。しかもフロントカウル横のかなり目立つ部分に! 本当にありがとうございます。他のライダーもヘルメットやマシンにステッカーを貼ってくれているようです。