スマートフォン解析

Testride in Maroc

……という貴重な経験をしたのはイタリア、ビモータのテストライダーで僕ではなかったのだが。ドゥカティ渋谷でおそらく世界で最も高価なダートバイクと言えるBimota DBxの実車に触れてきたので写真でレポートしよう。

 Bimotaは皆さんもよくご存知だろうが、イタリアのカスタムメイド・モーターサイクルメーカーだ。1960年代に設立されたビモータはもともと空調設備の会社であったが、創業者の1人であるマッシモ・タンブリーニが趣味のレースでバイクを大破し、修復のためにオリジナルフレームを制作したことをきっかけにカスタムフレームビルダーとなっていった……という歴史をもつ(出典:Wikipedia)

 僕も1980年代に、バイク雑誌のグラビアでHB-1を見て何度もため息をついていた記憶がある。美しいトレリス構造の鋼管製フレームに、さらに美しいビレット仕上げのアルミ製サイドメンバーが繊細なボルトで結合されているデザイン。隅々に量産車ではあり得ないハンドメイド感があり、いつかは乗って見たいと思わせられるものだった。カウリングも滑らかなエッジをもつFRP製で、量産車のポリプロピレン製とは異なる質感がじつに美しかった。僕と同様に感じていた方も多いのではないだろうか。

 マッシモ・タンブリーニが去りその後経営危機に陥るなどしながらも、多くのファンに支えられて斬新なモーターサイクルを提供し続けているビモータが2013年にリリースしたのがこのDBxだ。ドゥカティ製の1078cc空冷Vツインエンジン(Ducati Monster1100EVO用)を搭載するオフロードモデルである。まあオフロードモデルとは言ってもシャレ、カフェレーサーみたいなものだろう……と思っていたのだが、実際に現車を見て、触れてみると、いやいや案外これはマジなオフロードモデルかも、と感じた。実際に乗ってオフロードを走ってみないと断言できない(まあそういう機会はないだろうが)が、デザイン、造り、ライディングポジションが完全にオフロードモデルのそれなのだ。

IMG_6160 1m近くありそうなシート高だが、全体的に軽く感じること、そしてタンクまわりの幅がスリムなために足つきはそう悪くはない。過去に最も足つきが悪いと思ったのはBMWのHP2エンデューロとBMW G650X Challenge(この2台はそもそも地面にまったく足が届かなかった)だが、それらに比べるとだいぶ現実的なシート高で、これなら街乗りでも使用できそう。

 オフロードモデルとしてきちんと開発されているな……と感じる理由は、洗練されたパーツチョイスにもある。ハンドルへの衝撃を緩和するPHDSバークランプ、タロン製のビレットハブ、ブレーキング製のディスクローター、エキセル製リム、スーパースプロックス製リアスプロケット、そしてオーリンズ・TTXサスペンションなどなど……どこを見ても最新、最高スペックのオフロード用コンポーネントが採用されているからだ。オンロードバイクをメインとするメーカーが希にオフロードバイクを造ると、ファッションアパレルブランドが造ったマウンテンパーカのようにどこか妙な、使い物にならなそうな部分が散見されることが多いのだが、このDBxにはそうした「上っ面感」がない。

 跨がってみると「走りそう」なイメージはさらに強まってくる。柔らかめのセッティングが施された前後サス、フィット感があるエクステリア、ハンドルが近くコンパクトなライディングポジション。エンデューロコースくらい走れそうな気になってくる。もっとも、各部に使用された美しいビレット仕上げのアルミ製やカーボン製のパーツが傷だらけになってしまうことを考えると、相当財布と心に余裕のあるアドベンチャラーではなければやらないだろうが。

 この美しいVツイン・モンスターを味わうためのプライスは400万円〜(仕様により異なる)。高価ではあるが、最新のGSをフルオプションで購入できる人にはある意味現実的とも言えるプライス。だが、いざ買っても繊細なデザインのカーボン製ライセンスプレートホルダーなどをギタギタにするのは心情的に辛いものがあるだろうな……。
 
 ともあれ、イタリアンアートとも言える1台。世界でも7台しか製造されていないわけで見る機会だけでも貴重なBimota初のビッグオフロードモデル。街で(あるいは山で!)もし見かけられたら、相当ラッキーだと言える。

美しい斜め後方からの眺め。

美しい斜め後方からの眺め。



 
Bimota DBx
問◎モトコルセ 

GALLERY<キャプションにカーソルを合わせるとキャプション全文がお読みいただけます>